浜口陽三は日本を代表する銅版画家です。さくらんぼやてんとう虫などの小さなモチーフが、やわらかな闇に包まれて、静かな時間を刻んでいます。
21歳のときに東京美術学校を中退しパリに渡りますが、第二次世界大戦の開戦を受け帰国。戦後、病気療養の為に静岡県の伊豆半島にある蓮台寺 (れんだいじ) 温泉に2年程滞在し、その飾らない人柄で地元の人々と親しく交流しました。その後1953年に再びパリへ渡り、創造的な作品を生み出す技法としてのカラーメゾチントを完成させ、独自の世界を開拓しました。
本展では、近年生家より発見された尋常小学校時代のスケッチや、30代から40代にかけて様々な表現を模索していた頃の油彩画をはじめ、カラーメゾチントの代表作「さくらんぼと青い鉢」「22のさくらんぼ」など約70点でその画業を振り返ります。