「日本画」と聞いて、どんな作品をイメージしますか?掛軸や屏風、絵巻物など日本伝統の仕立ての作品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、現代日本画の展覧会に足を運んでみると、会場のほとんどを埋め尽くしているのは、両腕をめいっぱい広げても収まりきらないくらい大きな額装の日本画なのです。
近代以降、額装された洋画からの影響や、日本家屋から洋風建築への変化に合わせ、日本画が額装されていく動きが起こりました。また、明治末から大正・昭和初期にかけて公募展や団体展が多数開催されるようになると、その会場には大画面の額装の日本画が多数出品されるようになりました。
現在まで活発に継続開催されている団体展や公募展から、また個々の作家活動の中から、数多くの名だたる額装の日本画が生み出されましたが、近年では額すらも外し、あるいは和紙や岩絵具、墨など日本画特有の材料や技法に焦点を当て、「日本画」そのものを再考していこうとする動きも見られます。
本展では、日本画が額装されてきた歴史やその背景を探りながら、栃木県立美術館コレクションから選り抜いた約60点の日本画の名品をご紹介します。