◎アルケーとは哲学用語で根源、原初の意味である。
◎秋山陽(あきやま・よう 一九五三― ) いわく、自身の発想の根底には、原初への憧憬や希求があるという。作品は、それを折々にかたちにしたものである。
◎かたちは、かたちのない土に働きかけ、陶へと変容させることで確かな状態になる。秋山はそこに、たとえば土に潜む生命の萌芽のような、目には見えないものを表そうとしているのだろうか、全方向に展開する形状には動きの気配があり、それがまたひるがえって、かたち在るものの生成と崩壊の宿命を暗示している。
◎その造形は、土の物性を強く感じさせ、壮大なスケール感を持つ。土は、材料でありながら、粘土、泥、土壌、地面、地球をイメージさせ、秋山の仕事はさながら無邪気な子供のごとく、あるいは国造りの神話のごとくである。
◎本展でご覧いただく約四〇点は、新作、近作を中心に一九八〇年代、一九九〇年代の代表作からなる構成で、秋山の造形世界を俯瞰するものとなっている。