竹久夢二(1884~1934)の作品には、過ぎ去ったものをなつかしむ想いが常にひそんでいます。母や姉といった女性のぬくもり、こどもの哀歓、まだ見ぬものへの憧れ、自然のうつろい―生まれ故郷の邑久郡本庄村(現・岡山県瀬戸内市邑久町)で過ごした日々が、夢二芸術の原点となりました。夢二の「里がえり」を願って昭和41(1966)年に創設され、今年で50周年を迎える当館のコレクションから、ふるさとにちなんだ画や詩を展示、夢二の幼少時代の様子を振り返りつつ、作品の底に流れる郷愁の想いを感じて頂きます。また夢二が画家として成功してからの帰郷の様子や、後援者、教師、文学者など岡山ゆかりの人物との交流にふれ、夢二と岡山の関わりについてご紹介します。それに関連し、大正7(1918)年に夢二と共に滞岡した恋人・笠井彦乃が逗留先の友人に御礼として贈った屏風作品《あじさいの女》(個人蔵)を特別公開します。(3月15日~5月15日)
誰もが胸に抱くふるさとの記憶、郷愁の想いを呼び起こす作品群をご覧ください。