「光の情景画家」とも評され、幅広い層から熱烈に支持される笹倉鉄平は、1954年丹波市山南町で生まれました。生家は織物業を営み、幼少期より父が行う糸の染色作業の傍らで学び、まさに「色の洪水」のなかで育ったといいます。
東京の美大を卒業後は、広告デザイナーを経て、誰もが知る製菓会社の製品パッケージのイラストなども手掛けました。
1987~88年に毎日新聞カラー別刷り版において連載された、「Romantic Gallery」、「ロマン色の街角」シリーズ等、ヨーロッパを題材にとった一連の作品は、海外への渡航がごく一般的になった時期に一種の紀行作品として読者に受け入れられたと同時に、画面全体に溢れるやわらかい光が郷愁と安らぎ、また生きる希望を見る人に与え、絶大な人気を呼び起こしました。
1990年に画家に転身。氏の言葉によれば、自らの画風の確立に苦悩の数年を過ごしたのち、支持者より伝えられた「希望とやすらぎを与えられる画風」に自己の作品の意義を見出しました。
近年は、国内での展覧会開催の傍ら、イタリア・レカナーティ市及び、フィレンツェ市主催による現地での個展、北京国立中国美術館での中国人画家との「二人展」、京都市後援による「京都・パリ姉妹都市締結50周年記念」の両市での個展、また昨年は、「京都・フィレンツェ姉妹都市提携50周年記念事業」の一環として、両市後援のもと、それぞれの街にて個展を行う等、海外にて開催した展覧会でも成功を収め、日本人の美意識や優しさを、その美しい情景画を通して海外へ伝えています。
本展では、イラストレーター時代の多岐に渡るイラスト作品なども含め、油彩・淡彩画等を中心に、約60点を展示しご覧いただきます。