「人生とは、踊り、跳びはね、飛翔し、笑い…
そうして過ぎ去っていく素晴らしいものだ!」
フランスの裕福な家庭に生まれたジャック=アンリ・ラルティーグ(1894-1986)が父親からカメラを与えられたのは、7歳の時でした。幸せな瞬間がすぐに目の前から消え去ってしまうのを幼いころから恐れていたラルティーグは、そうした瞬間を残していけるカメラという新しい“魔法の機械”に夢中になり、生活のあらゆることを毎日写真におさめました。なかでも、スポーツやジャンプ、自動車、飛行機といった様々な動きをとらえることへのひときわ高い関心や、心霊写真のような写真ならではの表現へのあくなき探求心は、ユニークで鋭い視点の作品を生み出しました。また、家族や友人、恋人の幸せに満ちたすがたを愛情深くとらえた作品も多く残しています。この展覧会では、子ども時代から晩年までの代表的な作品と、その多くが日本初公開であるカラー作品など約160点を通して、写真を楽しみ、過ぎ行く時間や人生の歓びをつかまえようとしたラルティーグの世界をご紹介します。