永世中立国として独自の道を歩んできたスイスは、デザインの分野でも質の高さとユニークさで世界の注目をあつめる存在です。実用性と機能性を好み、伝統と最新技術を融合させながら手仕事的なぬくもりと美しさを愛するスイス人気質は、「スイス・ブランド」として現在に受け継がれています。
2014年の日本とスイスの国交樹立150年にあわせて企画された本展は、近代デザインの草創期から、その開花を迎える20世紀中葉、そして多様な価値観とアイデアの展開する現在まで、世界に向けて発信されたさまざまなデザインを紹介します。鉄道や航空など「観光」におけるデザイン、そして時計や靴、家具やファブリックなど多様な領域におよぶ各ブランドの取り組み、その歴史と背景、思想とコンセプトは、スイスのデザイン文化の豊かさを身近なところから語ります。ル・コルビュジエ(1887-1965)とマックス・ビル(1908-1994)の二人の巨匠の仕事は、スイスデザインの合理性と普遍性を考える手がかりとなるはずです。そして近年のスイスデザインアワード受賞者たちの先端的な作品は、私たちの生活とデザインの未来を感じさせてくれるでしょう。
知られざるデザイン大国スイスの全貌を紹介する、日本で初めての試みにご期待ください。