松浦孝之 ― 神々の言葉
松浦孝之。1997年京都芸大大学院卒。まだ在学中に京都市美術館で発表した[神々の言葉 Debanagarai]に出会いすぐに購入。松浦が尊敬する32人へのオマージュでスケールの大きさとユニークな視点による表現への真摯な接近に注目してきた。
版画という技法を使いながら、複数芸術という概念を破棄して木版であろうが銅版であろうと原版そのものも刷られた作品と一緒に作品の一部として組込まれ、したがって世界に一点しか存在しないものとなる潔さ。そしてそれが独特の技法、深い知識に裏付けられたユニークな構想力、職人的な完成度によるクオリティーは極めて高い。
人間(植物)の生命の瞬間、生と死の微妙な揺らぎをオカルトや宮澤賢治やエミリ・ブロンテを誘引因子として「知」いう上向きのベクトルではなく、「無意識」という下向きのベクトルに導かれるように隠喩に溢れ独創的、刺激的な宇宙感に魅了されずにおれない。ギャラリー島田のコレクションによる松浦孝之の代表作をご覧いただきます。