料紙とは、書をしたためるのに用いる紙のことです。
漉 (す) きあげたままの素紙ではなく、優美で繊細な装飾がほどこされた料紙は、写経や詩歌のための紙として古くから珍重されました。
このたびはサンリツ服部美術館のコレクションから、平安時代に書写された古筆の名品を中心に、料紙装飾に光を当ててご紹介いたします。
当時の人々の文化と美意識は、文字だけでなく紙の彩りにも反映されています。
仏教へのあつい信仰を物語る装飾経の染紙や、大陸からの舶載の紙にほどこされた華麗な刷り、仮名文字の背景に軽やかに散らされた金箔や下絵など、優れた料紙装飾の技術をご覧ください。