雑賀清子(1933- )は油彩画とステンドグラスの制作を主としてきた作家ですが、そのかたわらで1980年代のはじめ頃から、およそ30年間にわたって田辺市中辺路町周辺でのスケッチを重ねてきました。雑賀のスケッチの対象となったのは自然であり、それも華やかに咲き誇る草木ではなく、私たちが気にかけなくなった足下の小さな花や雑草でした。それらの植物スケッチを、雑賀は自分自身の存在を重ね合わせながら描いてきました。
このスケッチを通して、当地の自然の魅力を紹介するとともに、雑賀が注目したひたむきに生きる小さな存在と、それが放つ命の美しさをお伝えできればと思います。