村祭り
昼花火がドーンドーンと秋空に鳴り響き、子供心にわくわくして授業になどならなかった村祭りの思い出が懐かしい。楽しみなどあまりなかった少年時代、村祭りは待ちに待った大イベントであった。屋台が並び、あまり見たことのないおもちゃなどが、眩しいほど並んでいた。わずかな小遣いを握りしめ、目的の品を時間をかけて見つけ出し買った。
そのお気に入りの品を手に足早に行くのがしし舞だ。唐草模様の布に包まれた大きな胴体に獅子頭が布団の上に置かれ、祭りの始まりを待っている。
まるで獅子をなだめる様に笛の音が鳴り続ける。夕暮れがせまる頃、獅子の舞いが始まる。胴には細かく割られた竹に折紙で作られた色とりとりどりの花がくくりつけられていて、その花を手に入れることが縁起物とされていたから、皆がこぞって求めた。集落で獅子舞が行われた後、神社へと時間をかけ曳行された観衆をかき分けるように、青鬼・赤鬼が進む。これがなかなか迫力があって子供心に恐怖を感じるくらいであった。
秋の収穫も無事すみ、どの人々の顔にも安堵の表情がみなぎり祭りを楽しんだ。今思えば素朴で単純な村祭りなのだが、子供の頃の祭りは心から離れないし、いつまでも新鮮な思い出として蘇る。豪華絢爛な祭りも素晴らしいが、村人が守り続ける素朴な小さな祭りに気が引かれる。子供の頃の思い出のせいだろうか、描く絵も自然とそんな祭りの絵が多い。