小樽洋画研究所は、1916年青年画家三浦鮮治が上京する平沢貞通から石膏像を譲り受けて、翌年後進のために自宅アトリエを開放したもので、ここに三浦の友人で春陽会の創立会員の山崎省三や、洋行帰りの工藤三郎らが加わって、若手の啓発にあたっていました。この小樽洋画研究所を皮切りに、太地社、裸童社など一連の活動が生まれ、北海道美術の発展の大きな原動力となっていきます。三浦のほか研究所のメンバーであった谷吉二郎、加藤悦郎、樋口忠二郎、桝田誠一はみな道展創立会員であり、大正から昭和初期にかけての北海道美術はここにかかわった者たちの手によって大きく発展していくのでした。
本展は、中村善策の出発点である小樽洋画研究所時代に注目し、ともに研鑽しあった先輩、仲間たちという交流作家とともに、知られざる中村の一面を展覧するものです。