このたび、山種美術館の開館50周年を記念する特別展第一弾として、100歳を超えても絵筆をとり続けた日本画家・奥村土牛(1889-1990)の展覧会を開催いたします。
当館の設立者・山﨑種二は「絵は人柄である」という信念のもと、画家と直接交流し作品を蒐集しました。なかでも土牛とは縁が深く、画家がまだ無名だった研鑽時代から約半世紀にわたり支援を続け、現在、当館は135点にのぼる日本屈指の土牛コレクションで知られています。
本展では、《醍醐》や《鳴門》など当館所蔵の代表作とともに、現存数の少ない大正初期作品の一つ《麻布南部坂》(個人蔵)、院展初入選作の《胡瓜畑》(東京国立近代美術館)などの優品を展示し、土牛の初期から晩年までのあゆみをたどります。
80歳を過ぎてもなお「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と語り、精進を重ねた土牛。その真摯な姿勢や優しい眼差しにあふれた名作約60点を通して、今もなお多くの人々に愛されている土牛芸術の魅力をご堪能ください。