2014年は宝塚歌劇が100周年、2015年は高校野球が100周年と、小林一三(逸翁)が創出した数々の文化事業は、現代のライフスタイルの中でも輝きを放ち続けています。この度、逸翁美術館・池田文庫では「小林一三ワールド」と題し、文化人としての逸翁の素顔を探る催しを共同開催することといたしました。
逸翁美術館では、「逸翁の審美眼」と題し、収集した美術品から見える逸翁の素顔をご紹介します。逸翁が茶の湯を習い始めたのは大正4年から5年頃、表千家の茶の湯を生形朝宗庵より学びました。独自の事業経営などからは、自由な茶風を想像されがちですが、自身が良いと思った道具を積極的に取り入れる一方、晩年まで点前の作法を気にするなど、正に自身の座右の銘にしていた「胆大心小」そのままの茶風でした。逸翁は西洋の焼き物を茶道具に見立てて茶会において使用したり、懐石に洋食を取り入れたり、椅子席のお茶室を考案するなど様々な工夫を行い、自身の好みのものを作家に作らせた作品も多くあります。利休が自身の茶の湯である「侘び茶」を確立させたように、逸翁も自身の茶の湯を表現しようとしたのでしょう。
このたびの展覧会では逸翁の「見立て」「好み」「自作」を表わす作品を展示し、それぞれの特色をご紹介します。また、特に収蔵品の中より名品と呼ばれる作品を会わせて展示します。小林一三の世界をお楽しみ下さい。