このたび、井原市立田中美術館では企画展「再興院展100回記念 戦後院展の日本画」を開催いたします。
明治の偉大な美術指導者である岡倉天心は、日本画近代化の試みとして、明治31年(1898)に日本美術院を開設します。日本美術院はそれまでの因習的な日本画壇から脱却しようとする強い意識をもった画家たち――横山大観、菱田春草、下村観山らが集い、互いに切磋琢磨しながら新時代の絵画を切り拓いていきました。さまざまな事情によって日本美術院は一時的に閉院を余儀なくされましたが、天心が亡くなって一周忌となる大正3年(1914)、大観らによって日本美術院が再興されます。
日本美術院は、再興以来、近代日本画壇の中核となる組織として現在に至っています。そして再興された院展も、平成27年(2015)、遂に100回目の展覧会を開催しました。画家たちの創作のなかに、伝統は確実に受け継がれていますが、新しい時代の息吹とともに日本画のマルチな展開が起こります。
本展では、井原市立田中美術館が所蔵する戦後院展の名作を一堂に展示します。院展100回目の開催を言祝ぐ、豊饒な絵画の世界を皆さまにご堪能いただければ幸いです。