国際的な視野に立ち文化的、人道的に貢献する行事として始まった「ヴェニス・ビエンナーレ」は、1895年に第1回を開催して以来、ほぼ2年毎にヴェニスで開催されてきた国際美術展で、最も長い歴史をもつ美術の祭典です。
ヴェニス・ビエンナーレの特徴は、国ごとに展示館による展覧会と国の枠を越えた国際展が同時に開催されることと、その時代を象徴するアーティストや作品が紹介され、美術の動向を示す役割をはたしてきたことです。
日本は、1952年の第26回に初参加し、1956年にはアジアで初めての自国のパヴィリオン=日本館を建設しています。日本参加から50年を経て美術をめぐる環境は内外共に大きく変化してきました。しかし、いつの時代もアーティストが新たな表現に挑みながら、美術の枠組みを拡張してきたことに変わりはありません。
本展は、1952年以降、ヴェニス・ビエンナーレに出品したアーティストの中から、茨城にかかわりのある12人のアーティストの作品を展示し、その時代と新しい美術のかかわりを示すと同時に、日本画からインスタレーションまで20世紀後半の美術表現の多様性を紹介しようとするものです。また、国際的な視点と地域とのかかわりという、ともすれば相反するテーマを「ヴェニス・ビエンナーレ」を接点としてつなげ、新しい同時代美術への関心を高めようとするものです。