平安京遷都から千年、帝のおわす京の都は文化と伝統の中心地でした。宮中を中心とした華やかな王朝文化が花開き、その結果、書画・彫刻・工芸品に至るまで静謐で格調高い数多の名宝が生み出されたのです。この特集陳列では、京都が生み出し、守り続けた名宝の数々をご覧いただきます。
まず、「後宇多天皇像」(重文、大覚寺)など、王朝文化に深いかかわりを持つ歴代天皇の姿や、王朝に仕えた公家たちを描いた「公家列影図」(重文、京都国立博物館)といった当時の文化の担い手であった人々を描いた作品をご紹介します。また、公家ゆかりの寺院、とりわけ皇子女や摂家の子女が入寺し、高い格式を誇った門跡寺院に伝わる作品も展示します。博物館の東に位置する智積院所蔵の「孔雀明王像」(重文)、霊雲院を飾った障壁画「四季花鳥図」「琴棋書画図」「月夜山水図」(重文)からは、今なお残る宮廷文化の余風を感じてください。後水尾天皇が二条城に行幸する様子を描いた「二条城行幸図屏風」や、孝明天皇が攘夷祈願のため上賀茂神社と下鴨神社に行幸する姿を画題とした「賀茂行幸図屏風」などは、歴史の一場面を目にしたような気持ちにさせることでしょう。
絵画作品のほか工芸分野から、四季折々の宮中の生活で用いられた宮廷の装束や、宴を彩った漆の器をご紹介します。どうぞお楽しみください。