1922(大正11)年、東京の浅草で生まれた山下清は、緻密で色鮮やかな貼絵による独特の世界を確立し、「日本のゴッホ」とも称されました。1971(昭和46)年に49歳の若さで世を去るまでの波乱に満ちたその生涯は、映画やテレビドラマにもなり、ほのぼのとした物語として幅広い層の支持を受けてきました。しかし必ずしもその人生が正確に伝えられていたわけではありませんでした。
本展は、画家としての山下清が何を考え、何を感じながら作品を生み出したのかという視点に立ち、芸術家としての山下清の真の姿に迫ろうとするものです。生い立ちから貼絵との出合い、そして山下清の代名詞ともなった「放浪」。放浪の後、画家として活躍し、さまざまな手法に挑戦する姿やヨーロッパを旅し円熟期を迎える最晩年までを3章に分け、代表的な貼絵をはじめ、油彩や水彩画、ペン画、陶磁器及び資料を紹介します。