現実と絵画との境界を曖昧にし、観る人に現実と意識の間をゆらぐような体験をもたらす船井の作品は、鏡をベースにして楽園を描いたものを配置することで、架空の絵の中に実際の観る人の姿が映り込み、現実とイマジネーション、人工と自然の世界等が反転交錯し、見える世界と見えない世界が一体的になるという体験型、参加型のものです。近年では、平面的な色面のパネルを構成することにより子どもが実際遊ぶ事ができるインスタレーション作品を制作し、新境地の絵画空間を生み出しています。本展では、船井が奈義町現代美術館の空間全体を使って約5年ぶりになる大規模な個展を開催します。
どこにも存在しない人々の心の風景としての「楽園」は、鏡に映ることで現実と非現実との世界観を往来しながら観る人に心地よく交錯してきます。非日常的な世界を体感することで、普段気づかなかった感覚や自身の新しい姿と出会え、他者と共通した経験によってお互いの世界を知り、新たな発見に繋がり、個々の思考に様々な問いかけを促してくれるでしょう。