ふろしきは、大きさや形に応じて自在にものを包み、汚れるのを防ぎます。また、不定形でも安定して手に持ち、背負って運ぶこともできる、とても便利な布です。その意匠は、古くは包んだ状態で現れる視覚的効果と実用面から、家紋や吉祥文 (きちじょうもん) を多く用いましたが、現代では広げた状態での美しさをも考慮され、絵画が図様 (ずよう) となったものもあります。
京都のふろしき・袱紗 (ふくさ) 問屋、宮井株式会社では顧客からの要望をきっかけに、堂本印象、福田平八郎、山口蓬春、棟方志功など、著名な画家の原画によるふろしきを昭和20年代から数多く手掛けてきました。
本展覧会では、宮井が所蔵する画家によるふろしき原画と、その図様によるふろしき包みを展示します。平面の原画が、ものを包んだ時に立体となってどんな造形変化を見せるか、ご覧いただきます。また、歳末年頭の挨拶のために配られた扇面 (せんめん) や卓布 (たくふ) の図様となった、干支 (えと) を描いた作品も合わせてご紹介します。