「琳派」は、本阿弥光悦が元和元年(1615)に徳川家康から鷹峯の地を拝領した時に、京都に誕生しました。その後「琳派」は各時代の美術や工芸の中で、降臨するかのごとく新たな継承と創造を繰り返してきました。今日においてもその造形美は「よみがえり」と「新たな発見」を導入することで、「琳派」なる世界を形成しています。日本人の美意識のDNAに組み込まれた琳派の美のコードを探りながら、本展覧会では近世・近代・現代における「琳派コード」を、「自然」「都市」「抽象」の観点から考えてみます。
たとえば「自然」における「琳派コード」には近世においては、意匠や和歌の世界を根底に「啼く鹿」や「木付梅」そして「寄せる波」などのコードに現れてきます。
これらのコードは日本人の自然観察で、そぎ落としてきた「美のエッセンス」です。琳派の装飾美は、時代のそして日本人の観念的造形美によって裏打ちされたものです。現代においての自然を琳派はどのような「琳派コード」で表現しようとしているのでしょうか。本展は歴史の中の「琳派コード」を洗い出し、今日の「琳派コード」を探る展覧会です。現代に課せられている「琳派」が時代の中で何を観ようとしているのかを展観します。