「自然を超えるもの」とは
「始めに神が天地を創造された」。「地の土くれから人を造り、彼の鼻に生命の息を吹きこまれた。そこで人は生きた物となった」。六日目に神は言った。「われわれは人をわれわれの像 (かたち) の通り、われわれに似るように造ろう。彼らに海の魚と、天 (そら) の鳥と、家畜と、すべての地の獣と、すべての地の上に這 (は) うものとを支配させよう」。
(「」内は関根正雄『創世記』より)
神が造ったものをネイチャー(nature 自然)と言い、人間のつくるものをアート(art 技術・芸術)と言うなら、土はネイチャーで土器はアートである。また言葉はネイチャーで詩はアートである。土くれから造られた私たちは、神のゴーレム(泥人形)でありながらも言葉とともに在って、二十一世紀に邂逅している。
芸術や技術の根底に私たちが読む文字はいつも、そんな、「詩と土」の<創世記>を湛えているだろう。