不思議な静謐感を湛えている。抜けるような蒼い空、時代を経た建物が広場に陰を落とし、鎮まり返った午睡の時を「輪回し」の少女が駆ける、その足音が、微かに木霊し白日夢でないことを知る。建物に囲まれた広場や道には密やかな喜び“光”と哀しみ“影”が移ろう刻とともにあった。ここに流れている刻は流れるか流れぬかの悠久に繋がる時である。フランスでの長い歳月は、過剰なもの、余剰なものを流し、人そのもののありようへとゆったりと降りていく日々の積み重ねであり、その眼差しと魂はゆったりと天へと昇っていく。それは時空に身を置き、晒されたからこその美しさであり、かけがえのない輝きである。山田さんが住んでいるぺルシュ地方の国立公園を<Parc naturel régional du Perche> 略して <パーク>の公募企画で、山田晃稔さんが選ばれてパークにある126の村々を描いた昨年の展覧会も大成功でした。是非、2年ぶりに帰国される山田晃稔・迪子夫妻とお出会い下さい。 島田誠