1950~60年代、経済成長期のミラノは、イタリアのデザイン発信地となりました。そのような時代に制作を始め、10冊に満たない絵本で忘れえない作家となったイエラ・マリ (Iela Mari 1931-2014)。その知られざる生涯と絵本の制作過程に迫る展覧会です。
美術学校で絵画を学んだイエラは、1960年代半ばまで生活を共にしたデザイナーのエンツォ・マリとともに、子育てをしながら新しい子どもの本の構想を練り、1960年、字のない絵本『りんごとちょう』を発表しました。その後、イタリアの子どもの本に大きな足跡を残したエンメ出版から、代表作『あかいふうせん』『木のうた』を含め、1980年までに8冊を発表します(うち2冊はエンツォとの共作、『りんごとちょう』改訂版を含む)。そして、多くを語ることないまま、イエラは2014年1月に逝去しました。
テキストに頼ることなく、生命の循環や形態の移り変わりを絵が物語っていくその絵本は、現在も多くの人たちに影響を与えつづけています。本展では、貴重な絵本原画や試作本などからイエラ・マリの仕事に迫ります。
また、各国で出版されている様々な「字のない絵本」をあわせて紹介します。