森鷗外の小説『天寵 (てんちょう)』のモデルとなった画家・宮芳平(1893~1971)の銅版画を紹介する。宮は鷗外との出会いののち、長野県諏訪に移り住み、高校の美術教師として後半生を送った。1934(昭和9)年にエッチング用のプレス機を購入し、自らの詩や随想を綴った個人通信誌『AYUMI』の版画編を知人や教え子に配っている。主として油絵を描いた宮だが、銅版画の繊細なタッチは、宮の叙情的でぬくもりのある世界観を如実に表している。本展では、これらのエッチング作品を中心に、宮芳平の詩と版画の世界をお楽しみいただく。展示点数、約40点。