風呂敷は日本独自の文化のようにいわれるが、けっしてそうではありません。ものを包む布は世界中にあります。中近東では風呂屋の棚に、着てきた衣類を布で包んで並べる習慣があって、これこそ、日本の風呂敷の語源となる風呂で用いた布と同じ使い方といえます。物を包んで頭にのせたり腕にぶらさげたりして、いろいろの民族が、目にもあざやかな美しい布を使っていますが、これも広い意味での風呂敷といえましょう。
贈りものを風呂敷に包むと、ちょっとあらたまった気持ちになります。紙袋などにはない風呂敷の機能です。日本では風呂敷で嫁入り道具を包んで祝いの気持ちを表しました。諸民族の間には祈りの心をこめて遺体を包むような、布の特別な使い方もあります。日本をはじめ、世界25ヶ国の諸民族の日常的な風呂敷の使い方と、特別な使い方を復元しながら、約400点の風呂敷を展示します。
こうした展示を通して、紙袋を大量消費するような現代文化への反省も含め、風呂敷の便利さと美しさを再発見する機会としたいと考えています。さらに、ファッションデザイナーのヨーガンレールさんが創作した風呂敷を、これからの新しい風呂敷の提案として発表します。
本展覧会では小学生から大人まで楽しめる2つの体験学習コーナーを設けます。風呂敷でスイカやビール瓶を包んだり、ちょっとしたバックにもなるような風呂敷の包み方を実習する体験コーナー。もう1つは織機を使って小さな風呂敷を自分で織る体験コーナーで、30分ぐらいで30cm四方の布を織り風呂敷に仕立てることができるようにします(風呂敷作りには実費が必要になります)。