山月記」「李陵」など、漢文の素養と深い教養から生み出された作品で私たちを魅了し続けている中島敦(1909~1942)。「光と風と夢」で芥川賞候補となり文壇への足がかりを得た数ヶ月後に、33年という短い生涯を閉じることになりましたが、生前に書き残された珠玉の作品は現代でも幅広く愛読されています。中島の没後60年にあたり開催する本展は、1992年に当館で開催した「中島敦展―一閃の光芒」を契機として、ご遺族から一括寄贈された「中島敦文庫」コレクション約1,000点から代表作の原稿、書簡などの貴重資料を選りすぐり、その生涯と作品を広く紹介するものです。なかでも、今年新たに発見されて文庫へ追加寄贈された中島の南洋諸島時代の書簡は、初展観となります。