歌人・吉野秀雄(1902~1967)は、群馬県・高崎の絹織物問屋の家庭に生まれました。青春時代から文学を愛した吉野は、大学在学中に宿痾を得たことを契機に本格的に短歌への道を歩みはじめます。療養を続ける一方、歌人の会津八一に親炙し、良寛への傾倒を深めていきました。四人の子を遺して亡くなった妻・はつ子を詠んだ「短歌百余章」(1946)によって、歌人としての地位を確立。生涯を通して結社や流派に属さず、独自の歌風を築きました。40年余を鎌倉で過ごし、神奈川との深いゆかりがあります。
当館ではご遺族から歌稿、日記、遺愛の品など0,000点の資料をご寄贈いただき、「吉野秀雄文庫」として一括保存しています。本展は吉野の生誕100年を記念して未発表を含む貴重な資料約280点を中心にその全貌を紹介します。