多くの人が行きかうエントランスホールの開放的な空間で、現代のさまざまな美術の姿を紹介してきたShizubi Project。第5回は、彫刻家・福嶋敬恭 (ふくしま のりやす)(1940年―)の新作を展示します。
福嶋は、1960年代半ば、はやくも20代の若さで、そのミニマルな作風により日本の芸術界に新鮮な驚きを与えました。以来ずっと、誰も見たことがないような作品を生み出し続けてきました。鉄やアルミ、グラファイトやワックス、ガラスなど多様な素材を使って生み出される、シンプルで厳密なその作品は、抽象や具象、彫刻や絵画といった枠を超えて、純粋な“色と形”の知覚体験をもたらします。そしてその体験は、私たちに人間の精神の働きである抽象とは何かを考えさせます。
今回は、美術館の広く明るいエントランスホールの空間に、深いマゼンタの色が広がります。決して、写真や映像では伝わらない、具体的な質と拡がりを持った特別な“色と形”。是非、ご覧ください。