浜田浄は、鉛筆やアクリル絵の具などを用いた抽象的な絵画を発表し続けている作家です。
1937年高知県に生まれた浜田は、56年上京、翌年多摩美術大学絵画科に入学します。油彩画から始まったその活動は、アクリル絵の具や支持体に合板を用いる試みを経て、77年の現代版画コンクール佳作受賞により一躍版画家として注目を集めました。しかし80年代前半に版画制作を中止。その後、紙を一寸の隙なく鉛筆で塗り込める漆黒の作品を発表します。さらに80年代後半からは、カッターナイフ、へラ、ペインティングナイフなど様々な道具を駆使し、絵の具をのせたキャンバスや板を削る作品を打ち出してきました。表現方法は変化しながらも、時間や行為の積み重ね、支持体との身体的・精神的な格闘など、絵画に対峙するその姿勢は、常に一貫しています。なお浜田は、長年練馬区の小学校で図工教員を務めていた、地域ゆかりの作家でもあります。
本展では、初期から近作まで約40点の作品を通し、浜田の軌跡をご紹介します。