このたびBASE GALLERYは、眞壁陸二の新作展を開催いたします。
眞壁作品は私達を包囲する風景を自らの中に招じ入れて咀嚼し組み替える。先ず、視線を大きな中空に移動させ、いわゆる俯瞰の位置に置く。 鳥の眼はいかにも世界の詳細を省き、そこでは人も森も果てのない繰り返しの記号に変換される時に木の節理に風景を解体して描いて見せる。 風景は元来、家に遮られ、木立に阻害されながら静かに広がっているものだ。だから時に眞壁が描く風景はこのような分断のリズムを帯びている。 眞壁の視線の位置、節理は元々の日本の絵画の遺産に由来することは明らかだが、 あらゆるこうした遺産を動員しながら淡々と周囲の風景を描き、私たちの立つ新たな場所を明らかにしてくれる。 それは私達を包囲する風景を新たに書き換えることで、新たな場所が見出しうる、いわば彼自身の風景の描写―叙景なのである。私達は一人一人が叙景を綴っているに違いないのだ。 2016年瀬戸内芸術祭に参加、本島で実際にゆっくりと横たわる瀬戸内の風景の中で、新たな叙景を見ることが出来るだろう。
何卒ご高覧、またご喧伝賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。