岩手県陸前高田市出身の畠山直哉は、1981年に「等高線」シリーズを発表して以来、現在まで都市や自然のさまざまな光景を撮影している写真家です。彼は日本をはじめ世界各国の美術館で作品を発表しているほか、2001年には世界最大の国際美術展であるヴェネツィア・ビエンナーレにおける日本代表の一人に選ばれるなど、国内外で精力的な活動をしています。
彼は石灰石鉱山の現場や発破の瞬間、また、都会の建築群や地下水路など、多様な光景を撮影しています。こうした光景を捉えながら、彼は人間社会と自然との関係や、写真というメディアのあり方について考えを重ねています。
今回の展覧会は、彼の初期作品から最新作までを紹介する国内初の大規模な回顧展です。「等高線」シリーズから、石灰石鉱山を舞台とした「ライム・ヒルズ」「ライム・ワークス」「ブラスト」、都市の建築物を俯瞰的に捉えた「タイトルなし」、渋谷の地下水路を撮影した「アンダーグラウンド」、そしてイギリスで制作された最新作「スロー・グラス」まで、約80点を展示して彼の活動の変遷をたどります。