上住雅恵は、ニューヨーク、サンタフェ、パリ、プロヴァンスの風景を組み作品として発表してきた。そして、今回はニュー・メキシコである。黄と緑と土のグラディエーションは僅かな起伏のある大地にも見えるが、黄色の顔料となる雌黄(しおう)と雄黄(ゆうおう)を混在する熱帯常緑樹の色彩分布のように透明で乾いた空気こそが Air と題された抽象空間としての上住のテーマであり、周到に選びとられた色彩と画家の目で、景色を切り取り、自分の内面に今、生じている感覚こそを大事にし、組み作品としての叙景詩とする理由である。 島田誠