須田悦弘は1969年山梨県東八代郡一宮町に生まれる。92年多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業。大学卒業後、多摩美術大学副手をしながら、中山ダイスケ、中村哲也、笠原出、藤原隆洋らと立川市内の旧リッカーミシン工場の食堂跡に作ったアトリエ兼イベントスぺースであるスタジオ食堂に参加。スタジオ食堂が解消した後も国内外の画廊や美術館で作品を発表。須田は、薔薇や椿などの花々から何気ない雑草まで、様々な植物を木彫によって実物大に表現した作品で知られる。その作品は、彩色された木彫という伝統的な技法を採りながらも、展示空間全体を一つの作品として見立てる表現手段(インスタレーション)によって、近年国内外で高い評価を得ている。
今回の特別展は、現代美術棟の展示室5という広々とした天井の高い空間で、透明な光が静かに時を貫く、須田悦弘のイリュージョナルな世界を展観するものである。