長野市街、善光寺のそばに位置する長野県信濃美術館は、昭和41年財 団法人として開館し、昭和44年に長野県へ移管され、現在に至っています。その35年間を越える歴史の中で、長野県出身や長野県にゆかりの深い作家の作品、信州を描いた風景画など、優れた作品によるコレクションが形成されてきました。さらに昭和62年には、信州の自然と風土を愛した日本画家、東山魁夷の作品500点余が作家本人から寄贈され、それらを展示するスペースとして、平成2年に東山魁夷館が併設されました。現在も、本館とあわせて豊かな内容を誇る、魅力溢れる美術館として、多くの来館者を惹きつけています。
本展はそのコレクションの中から、日本画、洋画、彫刻にわたる主要作品を選りすぐってご覧いただくものです。東山魁夷においては、初期から最晩年に至るまでの本画24点、中国や北欧を訪れた際のスケッチや本画 の元となる下図30点、計54 点を前後二期に分けて展示します。それ以外にも、近代日本画では菱田春草、菊池契月による優れた作品、岸田劉生の草土社で活躍し、細密描写を特徴とする河野通勢の洋画、日本の近代彫刻を代表する一人、荻原碌山のブロンズ彫刻など、信州にゆかりのある作家や作品を数多くご紹介いたします。
これらの作品は、群馬県にとって身近な長野県の美しい自然、そして優れた芸術を生みだす豊かな文化的土壌を、あらためて感じさせてくれることでしょう。