1927年(昭和2)国東市国見町に生まれた河合誓徳は、幼い頃に見た父の古代史の本から刺激を受け、焼きものに興味を持ち、小・中学校時代から一人で土や釉薬の研究に励みました。絵を描くことも好きだった誓徳は、有田で絵付を学んだ後、京都に出てから本格的に陶芸の道に入りました。立体的・彫刻的な作品から、独特の形の筥や壺、陶板へと作風を変化させ、そこに生まれ育った大分の自然を鮮やかな色彩で絵画的に描く仕事を始めました。
1942年(昭和17)竹芸家・生野祥雲斎の長男として生まれ、自然豊かで諸々の美術品にかこまれた環境で育った生野徳三は、武蔵野美術大学彫刻学科を卒業後、竹芸の道に入りました。竹と金属の組み合わせという新しい試みから、素材の美しさに着目し竹の表皮を残したひごを使用する作品へと変容します。幼い頃からの生活環境そして彫刻学科で学ぶ中で養われた「ものを空間の中でとらえ、さまざまな角度から見る目」をいかした表現を追求し続けています。
今展では、伝統技術を受け継ぎながらも、新しい感性による独自の作風を生み出した二人の工芸家の作品を紹介します。