近代化、西洋化が進んだ大正時代、こどもの自発性や個性を尊重する新しい教育理念にもとづいて、良質な物語、詩、童謡、絵を収録する児童雑誌が相次いで刊行されます。なかでも絵が主役の雑誌が登場し、竹久夢二や岡本帰一、清水良雄、武井武雄、村山知義ら新進気鋭の画家たちが、独自の画風で表紙や挿絵を手がけました。おしゃれな洋服、輸入物の玩具、西洋菓子などの新しい文化や、動物やものが擬人化された詩と物語が展開するカラフルな誌面に、こどもたちは心躍らせたことでしょう。
このたびの展覧会では、1920-30年代の『子供之友』『赤い鳥』『コドモノクニ』の原画を展示し、描かれた理想のモダンライフと、想像をかきたてるお話の世界をご覧いただきます。「童画」を確立させた画家たちの、愛らしく、ときにユーモラスな作品の数々をお楽しみください。