西田潤は1977年に生まれ、2005年に夭折しました。
アートコートギャラリーでは没後10年にあたる本年、西田が遺した作品の本質を改めて問い直したく、西田潤展を開催します。
「自然の創造性に人間の創造性が加わったときにできる独立した存在を作りたい」(西田潤作品集「絶」青幻舎刊、2006年、付属DVD)という言葉通り、宇宙創世にも通ずるかと思われる混沌と破壊の制作プロセスの果てに得た造形表現を持って、西田は2000年代初頭に世界の陶芸界の最先端を駆け抜けました。その作品を、今一度ご覧いただく展覧会です。
西田が2000年より2005年まで、壮絶なエネルギーで制作に挑み、内外から賞賛と期待を集めた作品《絶》シリーズを中心に展示します。
それは次のような独自の方法で制作されました:
陶、鉄板、レンガ等で甕や方形の大型の外型を作って、その中を釉薬で満たす。時にパイプ状や円盤状に成形した素焼の造形物も入れ、長時間高温で焼成する。窯出しの後、焼成時の外型を除き、中の造形を取り出し、その亀裂に沿って鑿を入れ、二分割、三分割にして内部を露見させて制作は完了する。この鑿による大胆な破壊までが、西田の制作プロセスとなる。
長時間の高温焼成の熱によって釉薬は、溶岩のような、あるいは分厚い大理石のようなガラス質の固まりとなり、その外周には襞や鱗紋が見えます。また中心の熱の伝わりにくい部分は、釉薬は粉のままに残ります。それら層を成す溶融の結果は、形状・色彩・質感ともに観者に鮮烈な印象と魅惑を与えます。
会期終了後、出展作品の多くは内外の美術館での収蔵が予定されています。
その為本展は、西田作品の個展としてまとまった展示ができます希少な機会となります。