武蔵野美術大学 美術館・図書館にて、展覧会「堀尾幸男『対 (つい)』」を開催します。
本展は、野田秀樹氏、三谷幸喜氏、いのうえひでのり氏、中島みゆき氏など、第一線で活躍する演出家や作家の舞台美術を手がける本学空間演出デザイン学科 堀尾幸男教授の仕事を、模型やスケッチ、図面などの舞台美術資料や堀尾氏自らがデザインした展示空間によって紹介するものです。
堀尾幸男氏は1946年広島県に生まれ、1965年に本学造形学部産業デザイン学科芸能デザイン専攻に入学します。在学中に旧西ドイツのベルリン芸術大学に留学し、ヴィリー・シュミット教授の下で多様な空間造形を学びながら、自身の表現のかたちを探求しました。卒業後は映画の特撮美術の仕事を経て、舞台美術家の金森馨氏に師事します。1975年にはホリオ工房を設立し、81年のオペラ「ルチア」の美術を担当以後、現代劇、ミュージカル、オペラ、歌舞伎、落語など500公演を超える舞台美術を手がけてきました。名立たる演出家や作家たちと共に新たな創造に向かうなかで、堀尾氏は既存の表現に留まることなく、新しい空間認識を投げかける舞台美術を提示し続け、それらの仕事は、朝日舞台芸術賞、読売演劇大賞最優秀スタッフ賞ほか多くの評価を得ています。
また、吉祥女子中学・高等学校、武蔵野美術大学、東京藝術大学では非常勤講師として教鞭をとり、2010年からは本学空間演出デザイン学科教授に着任し、後進の育成に力を注いでいます。
本展では、その数多くの舞台美術のなかから厳選し、詳細な舞台模型や構想時に描かれたスケッチや図面などから、堀尾氏の舞台美術が立ち現れる過程、発想の瞬間に注目する展示を行います。さらに、展示空間の会場デザインを堀尾氏自身が手がけます。舞台空間さながらの展示会場から、堀尾氏の手がける舞台美術の醍醐味を体感していただけるでしょう。また、別会場の美術館ホールでは、舞台公演の記録映像を特別に上映します。公演のなかで舞台美術がどのように存在し、機能しているかをご覧いただけます。