アメリカのサム・フランシス(1923~1994)は、20世紀美術を代表する画家の一人です。カリフォルニアで生まれ、大学で植物学、心理学、医学を学びましたが、兵役中のパイロット訓練中に事故に遭遇し、そのケガの療養中に絵を描きはじめました。第2次世界大戦後、アメリカの抽象表現主義の台頭に刺激を受けながらも、パリに渡って画家としてデビューします。その後はカリフォルニアに拠点をおきながら、パリ、ニューヨーク、東京などを舞台に、華麗な色彩がほとばしる独自の抽象絵画を展開しました。1950年代に初来日したフランシスは、日本にヨーロッパのアンフォルメル運動を旋風のようにもたらし、その後も多くの文化人と交流し、日本にゆかりの深い作家として知られています。今回の展覧会は、サム・フランシスの世界一のコレクションとして名高い出光美術館所蔵の200余点の中から、初公開の大型作品を含む、初期から晩年まで選りすぐった代表作60点を一堂に展示します。待ち望まれたサム・フランシス回顧展をぜひご覧ください。