本阿弥光悦(1558-1637)が元和元年(1615)に京都洛北の鷹峯に光悦村をひらき、俵屋宗達らとともに芸術活動を始めて400年。以後、その美の系譜は“琳派”として受け継がれています。琳派の祖である本阿弥光悦は、工芸家、書家として活躍しました。そしてプロデュースにも秀で、俵屋宗達らとともに美しい雲母刷の唐紙を使った豪華な版本を作ります。それは日本印刷史上、最も美しい印刷物とも評され、「嵯峨本」と呼ばれました。唐長の祖・千田長右衛門はこの「嵯峨本」に唐紙制作で従事し、以後、唐長は400年近くにわたり琳派とともに歩み、江戸時代より途切れることなく唯一続く唐紙屋として、文様に琳派の美と伝統を守り続けてきました。
本展では唐長11代 千田堅吉が復刻した、唐長の原点ともいえる「嵯峨本」を中心に、文様が伝えてきた日本の美の真髄、琳派の心を展覧いたします。京都だけにとどまらず世界のデザインにも影響を与える琳派の息吹を、名古屋でもお楽しみください。