本プログラムはアーティストの監修で青森市が所蔵する民俗資料を紹介し、地域の資源や歴史を多角的な視点で掘り起こす展覧会シリーズです。第4弾となる今回は、アーティスト野老朝雄(ところ あさお)をゲストディレクターに招き、「紋様」(※1)に着目し展覧会を開催します。
野老朝雄は建築を学んだ後、現在は数学的法則に基づき紋や紋様を制作し、建築、彫刻、ファッションなどの領域で活動するアーティストです。タイトルにある「群」とは、ある定義と法則に基づいた集合を現す数学用語でもありますが、実は私達の暮らしの中にも潜んでいる法則です。例えばこぎん(※2)では1、3、5の奇数で布の織り目を刺し、刺し目の集合体が一つの紋様となるように、ある法則にのっとって個を群にすることで紋様となることがあります。
本展では、アイヌの道具に見られるような呪術や祈りの象徴としての紋様、こぎんに見られるような実用と装飾として施されてきた紋様、錦石に見られるような自然が生み出した紋様など、さまざまな紋様を持つ所蔵品に加え、野老が制作した紋様やコラボレーションで制作した作品も展示します。青森の風土が生んだ紋様と野老が生んだ紋様、そして野老によって所蔵品が「群」をなす様子をお楽しみください。
※1 ここでは模様や柄を全て紋様と表記します。
※2 津軽地方で防寒や補強のために麻布に木綿糸で刺繍を施した労働着や刺繍そのもののこと。