このたびベイスギャラリーは、9月1日から10月3日まで伊賀美和子展‘THAT'S NOT ENOUGH.’を開催いたします。
伊賀美和子は1999年キヤノン写真新世紀展での受賞以来、2007年BASEGALLERYでの初個展も含め、一貫して玩具、それも人形を主たる被写体に多彩な表現を展開してきました。
カメラを通せば、人形はいつまでも人形の姿態を私達に晒すほかなく、一度として体温をこちらに伝えることはありません。しかし伊賀はその不如意さ、足りない何かにこそ表現のすべてがあると考えてきました。
生きることは、どこか小さく欠落し、満ちることのない日々の重なりをかいくぐることに違いない。 思いに沿わぬ日々、そんな日々をやり過ごすのが私たちの定めと言うなら、肢体も思うに任せぬ不器用な人形が示す多くの様態は、私達そのものと言う他ないのではないか。
題して‘THAT'S NOT ENOUGH.’。それは伊賀の表現の原点で、どの画像もこうつぶやく小さな声が聞こえるかのようです。
どうかご高覧の上、ご喧伝賜りますようよろしくお願い申し上げます。