熊本市の南に位置し、豊かな自然が広がる宇城地方。この地には、江戸時代、宇土に細川藩の分藩が置かれ、松橋や不知火は不知火海からの海運で商業が栄えたといいます。そのためかこの宇城地方は以前から文化や美術が活発で、県内外で活躍する多くの画家を輩出してきました。
20年ほど前、この土壌を生かし、自分たちの手で地方文化をさらに活性化し、宇城に文化の風を巻き起こそうと、地域の画家などが集まり、「宇城美」を結成しました。第1回展は1994年11月、肥後銀行松橋支店で開催され、ホールには多くの大作が並び、大盛況だったと聞きます。その後、「宇城美展」は途中、中断もありましたが、現在の「UKI美展」へと発展し、その心は脈々と受け継がれています。
本展ではその20年前の「宇城美展」創成の頃の作品を並べました。絵には、描かれたその時々の作者の情熱やエネルギーが内包されています。それは時を経ても色あせることなく、むしろ、今にない新鮮さや驚きを感じさせるものです。
今年、「UKI美展」は10周年を迎えます。その記念展の前に、20年前の作品を改めて見てみることで、「宇城美展」を立ち上げた時の情熱と各作品が語りかける表現の原点ともいうべき心意気を多くの方に感じていただければ幸いです。