近年、韓国映画は、話題作・秀作が立て続けに発表され、活況を呈しています。作品的にも、ホ・ジノ『8月のクリスマス』(1998年)のように、かつては顕著であった情念性や土着性を払拭した、抑制された美しさを提示したり、パク・チャヌク『JSA』(2000年)といったハリウッドばりの、スケールの大きなアクション映画が制作されるなど、イ・チャンホやペ・チャンホらが活躍した1980年代のニュー・ウェーブとも異なる、新しい状況が生み出されています。日本では、80年代に映画ファン層を中心にして、確実な支持を獲得していった韓国映画ですが、ここに到り、娯楽性と芸術性を兼ね備えた一つのエンターテイメントとして、広く一般に定着した感さえあります。しかしこのように紹介の機会を得ているのは、厳密には劇映画に関してであり、ナム・ジュン・パイクという偉大な先駆者を輩出したビデオ・アートの他、実験映画やドキュメンタリーといった分野については、鑑賞の機会は極めて限られた形でしかありません。この映画祭では、これら三つのジャンルの他、映画的な実験性を志向するキム・ギヨンの劇映画作品なども交えてプログラムを構成し、現代韓国の映像表現の興味深い一断面を切り取ります。本企画は、愛知県美術館で同時期に開催されている企画展「韓国の色と光」とともに、韓国の芸術・文化を多角的に照らし出すことでしょう。皆様のご来場をお待ちしております。
イム・チャンジェ『ラクリマル』(1998)8/10【土】上映
パク・ヘソン『ゴルコンダ』(2000)8/10【土】上映
同時開催/8月11日(日)14:00
愛知芸術文化センター
オリジナル映像作品第11弾
白川幸司監督『眠る右手を』プレミエ上映
監督来館!