初代 諸戸清六翁は1846年、加路戸新田(桑名郡木曽岬町)に諸戸家の長男として生まれました。そして18歳の若さで当主となり米の仲買で財をなすと、私財を投じて桑名市民のために当時最新の上水道(諸戸水道)を建設し、市内の30箇所以上に消火栓を設けるなど、公益事業にも力を注ぎました。また同時に、郷土の文化財流出を防ぐため、美術品を蒐集しました。
1906年に清六翁が死去した後、次男 精太氏が本邸を受け継ぎました。精太氏は茶道 松尾流や、数寄者として有名な益田鈍翁(孝)とも親交を結びます。清六翁同様美術品を蒐集しますが、精太氏は特に厳選された茶道具を蒐集しました。この二代にわたり蒐集された数々の名品が現在の桑名・諸戸家コレクションの礎となっています。
本展ではこの質の高いコレクションより、「大名物 青磁蕪無 花入」「中興名物 瀬戸真如堂手 茶入 銘 藤重」「小堀遠州作 共筒茶杓 銘 鼓の瀧」などの茶道具の逸品をはじめ、狩野探幽「竜虎屏風」、狩野山雪「楼閣山水屏風」、松平定信筆の和歌など、諸戸家ゆかりの名品68点を展示します。