倉敷を代表する工芸である酒津焼に焦点をあてその変遷を作品によりたどります。酒津焼は1869(明治2)年に岡本末吉が鶴形山山麓に阿知窯を築いたことに始まります。本展では第一章 酒津焼のはじまり、明治期の隆盛と衰退。第二章 入江之介時代。第三章 民芸との出会い。の3つの章により、各時代の作品を展示することで、酒津焼の歴史の流れを体系的にご紹介いたします。
第一章では明治期の岡本末吉を中心とする初期の酒津焼の作品と二代嘉蔵時代の作品をご覧いただくことで、当時岡山県下一の隆盛を誇った創生期の酒津焼の様子を紹介します。
第二章では、1922(大正11)年に来窯し、1924(大正13)年まで酒津で制作を行った南画家入江之介が制作した作品を展示し、之介が酒津焼に与えた影響をご覧いただきます。
第三章では、京焼との出会いをはじめ柳宗悦、浜田庄司、河井寬次郎、バーナード・リーチら倉敷を訪れた民芸運動の作家による指導によって大きく変貌をとげた酒津焼を紹介します。
また、このたびの展覧会では当館が所蔵する黒田綾山、衣笠豪谷、稲葉春生ら高梁川流域ゆかりの日本画家たちの作品もあわせて展示します。