清少納言の「枕草子」には「うつくしきもの」として、幼児や雀などの小さくかわいらしい仕草が詳細に表現されています。「愛しい(うつくしい、いとしい)」という言葉には「かわいい。恋しく慕わしい」(広辞苑)という意味があります。
平松画伯は、日暮れまで駆け回って遊んでいた少年時代、空地に咲く小さな花にも愛(いと)しさを感じていたそうです。画伯にとって「愛しきもの」とは、野に咲く花であったり、ある時は小さな玩具であったりと、そのまなざしは身の周りの様々なものに向けられています。
屛風や100号以上の迫力ある作品を多く制作している画伯ですが、小さなものたちを描いた小品には、大作とは違う繊細な感受性をくみ取ることができます。
今回の展示では、日々の営みの中で、描く対象に向けた情愛が伝わる作品を集めて展示いたします。