平松画伯が最初にフランスのモネの庭園を訪ねたのは今から20年ほど前のことです。前年に渡仏した際に見たモネの作品に日本的な心情を感じた画伯は、印象派の画家たちのジャポニスム(日本趣味)を日本画家として検証する試みを思いたちます。そこから始まった作品制作は「モネの睡蓮」という象徴的なモチーフに集約され、現在なお描き続けられています。
印象派を代表する画家クロード・モネは、自宅の庭に日本風の池を作り睡蓮を植えて繰り返し作品に描きました。睡蓮が浮かぶ池はモネが生涯追究した光のうつろいを表現するのに最適なモチーフだったのです。平松画伯は、モネの眼を通して見た風景を、岩絵具や金箔などの日本画の画材や技法を駆使して作品を制作しています。
今回の展示では、日本画独特の水面の表現に焦点を当て、ジャポニスムシリーズ初期の作品から近年作まで睡蓮をテーマにした作品を展示いたします。
美術館の庭の池では「モネの睡蓮の花」が開花の時期を迎えます。作品ともにお楽しみください。