國領經郎 (こくりょう つねろう) は、1919(大正8)年に横浜で生まれました。1941(昭和16)年、東京美術学校(現 東京藝術大学)師範科を卒業し、翌年1月に図画教諭として新潟県に赴任します。戦時中、4年間にわたって兵役に服しながらも作品制作を続け、復員後の1947(昭和22)年、第3回日展で初入選を果たしました。後に上京し、中学校教諭を勤めながら日展や光風会展を中心に作品を発表し続けます。「砂の画家」とも称された國領は、戦時下の中国で出合った砂漠や新潟で見た砂浜の光景が、砂丘のモチーフの原風景になったと語っています。砂丘を描くため、國領は日本国内のほぼ全ての砂浜を自らの足で取材しました。膨大なスケッチと、画家としての目線で捉えた取材写真を元に、心象風景を描き、他に例のない色彩感覚と抒情性溢れる作品へと昇華させていきました。
本展では、國領經郎顕彰会との共催により、初期作品から点描法による作品を経て砂丘をモチーフとした大作へと展開する國領芸術の一端を、素描も含めた約50点の作品にて、ご紹介いたします。表現技法の変化も見どころのひとつです。ぜひご覧ください。